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女性の健康センターのセンター長に就任する、小宮ひろみ医師=2024年7月2日午前10時44分、東京都世田谷区、足立菜摘撮影

 女性の健康課題に対する研究・診療を推進するナショナルセンター機能として、国は10月1日、「女性の健康総合センター」を国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の中に開設する。女性特有の疾患に加え、日本で取り組みが遅れていると指摘される「性差医療」を後押しするため、今後女性の健康に関するデータの収集・分析や情報発信、診療を担う。

 センター長に就任する小宮ひろみ医師(前・福島県立医大付属病院性差医療センター教授)に、こうした医療が求められる背景について聞いた。

 ――「性差医療」とは何でしょうか。

 男女で罹患(りかん)率に明確な偏りがある疾患や、発症率は同じでも、男女間で臨床的に差がある疾患、生理的・生物学的な解明がどちらかの性別で遅れている疾患、そして社会的な男女の地位と健康の関連などに注目し、それらを疾病の診断や治療、予防へと反映することを目的とする医療です。

 女性に特有の疾患もありますが、女性の健康を推進する上での「性差医療」とは、男女ともなる病気に関して「じゃあどうして女性の方が多いのか」「女性はどんな症状が出やすいのか」といった部分を深めていく医療だと考えています。

 性差医療の概念は1990年に米国で提唱され、日本では90年代後半に導入されました。

医療の中心ではなかった女性

 ――「性差医療」はなぜ女性側に重きを置いているのでしょうか。

 今までの医療・医学というの…

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